パッと見では問題がないように見えますが、前回レストアから一番サビが進行していたのがサイドドアでした。特に 助手席側よりも運転席側サイドドアのダメージが大きいです。
三角窓周辺のように 水はけが悪い 箇所はサビの温床になります。このような サクサクのウエハース 状態になってしまうと、両面から POR15 でサンドイッチしたとて 内部から浸蝕が進行してしまうので パネルの貼り替えが必要な感じですが、かなり入り組んだ複雑な構造になっているので さてどうしたものか。。
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塗装を剥がして 浮サビも除去して 遮錆作戦 を考えます。多少亀裂が入った鋼板の上からでも パテ盛りすれば 表面上は全くわからなく仕上げられます。が しかし、数ヶ月もしないうちにパテ割れから浸蝕が始まり 内部破壊していきます。それならばと 亀裂を溶接しようにも サビた鋼板はペラペラなので、アークの火花で 金魚すくいのポイ のように大穴が空くのが 目に見えています。 やはり 健康な鋼板の移植手術 しかないという結論に至りました。
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年式によって異なるかもしれませんが、’55 Type-1 のドアヒンジのネジ頭は プラス4番 が使われていました。サイドドアを脱着する際には インパクト工具 が必要です。すり鉢状に加工されたヒンジプレートにカウンターシャンクで留まっているため、通常のドライバーでは まず外せません。また使用するビットも 必ず合った番手にしないと ネジ頭をナメてしまいます。
取り外したドアパネルは まず最初に サンドブラスト (持っていません) ならぬ ウォーターブラスト しておきます。汚れを取るのが目的ですが 水の勢いを強くすれば 浮サビ 程度なら洗い流してくれます。もちろん すぐにエアーブローして 太陽光で乾燥させないと、地金むき出しの箇所は すぐにサビてきます。
左サイドドアの亀裂を内側から見た画像です。薄っすらですが広範囲にサビが発生していました。パネルに挟まれて 袋状 になっているため、せいぜい 細めのワイヤーブラシ が届く程度の場所です。まずは ドアパネルの隅々に サビキラー を塗布しておき、患部を溶接した後に POR15 をトップコーティング する作戦で進めます。
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左サイドドアの亀裂に関しては 案外とパネルの肉厚があったので、半自動溶接で塞がりました。しかし隣のサビ穴は、溶接でアークさせると 金魚すくいのポイ 状態で どんどん広がるだけでした。。半自動溶接を駆使すれば塞げないこともない大きさですが、できるだけ 溶接による焼き を入れるのは最小限にとどめたいところです。
画像では 何がどうなっているのか わかりづらいですが、ハケの柄先に1cm四方の鋼板 を両面テープで貼り付けています。これを 薄くなったドアパネルの裏側へ押しつけて 当て板 (裏パッチ) 溶接 と呼ばれる工法を使います。
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裏から当て板を押し当てて 表から溶接することで、点付け溶接くらいの大きさでサビ穴が塞がりました。当て板は 地金まで削り さらに通電させるため しっかり密着させないと 溶接棒がアークできずに失敗します。
裏側から見た画像です。最小限の溶接焼けで亀裂と穴を塞ぐことができました。周囲に斑点状に見えているのは サビキラー が サビに反応している模様です。溶接跡とあわせてこれら周辺は POR15 でトップコーティングします。
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これは 前回レストアでは 手付かずのまま 放置してしまっていた ドアガラスのチャネルを固定するためのパーツです。無くてもガラスの上下はできたため、いつかやろう で20数年経ってしまいました(汗)。折れたネジはドリルで揉み取って、おそらく 昭和40年代 に補修されたのであろう 錆びたステー金具は 新たに作り直しました。
’55 Type-1 のドアガラスチャネルは 上下に貫通しているタイプです。このあたりの構造は 年式によってマイナーチェンジが頻繁に行われています。色の違う下部の金具が 前回レストアで 見なかった事 にされていた部品です。。しかし とても重要なパーツであることが判明します。
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テコの原理によって比較的スムースに感じるだけで、ドアガラスの上下には かなりのチカラが掛かります。さらにドアパネル自体に 開閉時の衝撃が加わります。それらが長年積み重なったことで 曲がり や 歪み や 亀裂 が生じていたようです。助手席側よりも運転席側の方がダメージが大きい事も その推測を裏付けしています。
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チャネルの下部が固定されていなかったことで ドアパネル内側とも接触していたようですが、歪んでしまったチャネルのステーは リードバイス(万力) で修正して さらに 忘れられていた部品 を取付けたことで、ドアパネルとの接触事故は起きなくなりました。と、安心していたのも束の間。。
右サイドドアを外すまで気が付きませんでしたが、ドアガラスのチャネルステーを支える辺りに見える亀裂は 完全に破断 しており、指でさわるとフニャフニャしていました。歪み も亀裂が原因で生じたのでしょう。ここまでくると ドアガラス上下による負荷の問題だけでなく、構造上の欠陥があるのかと思えてきました。。ドアパネルの内部構造が頻繁にマイナーチェンジされていくのは こういった不具合を修正するためでもあったでしょう。
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単に亀裂を溶接するだけでは またドアガラス上下のチカラ に負けて同じ事の繰り返しになるので、リードバイスで真っ直ぐに 矯正した丸針金 で補強しておきます。丸針金を使う理由は 溶接がしやすいためです。溶接後に 遮錆塗料を浸透させやすいという利点もあります。
点付け溶接で位置を決めた段階ですが さらに その点と点を紡ぐように接合していき 反対側からも溶接しました。あらためて見ると 破断した箇所は 負荷が集中する場所なのに幅が狭すぎ です。この作業によって今度は 針金が途切れたあたりに負荷が掛かることになりますが、充分なパネルの広さがあるので問題ないでしょう。
三角窓周辺は 右サイドドアのほうが 大きな穴が空いています。運転席側なので ドアガラスの上下 や ドアの開閉 が頻繁にあることが 助手席側よりもダメージが大きくなった要因なのは間違いないです。
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左サイドドアと同様に 当て板 (裏パッチ) 溶接 を用います。ハケを押し付けて固定しておく必要があるので 鈑金で使う 当て盤 を重しにしています。
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点付け溶接で ハケの押し付けが不要になれば 今度は 平タガネ や ハンマー を駆使して ドアパネル側に沿わせて 密着させた状態にして さらに溶接していきます。
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比較的に大きな穴でしたが、裏パッチ溶接 をする事で 大規模な切開手術をすることなく修繕することができました。あと どんな溶接をした場合でもそうですが、溶接跡が一番サビやすい ので、入念に 遮錆処理(今回だとPOR15)を施しておきます。
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右サイドドアは 下辺が左右ともに腐り始めていました。前回レストアで POR15 は塗布していましたが すでに鉄板内部までサビが侵食していた事で 防ぎきれなかったようです。今回は これ以上 赤サビ を増殖させないためにも サビキラー で下地処理しています。
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右サイドドア下うしろ側 パネル切り接ぎ の手順です。この後は POR15 を塗布して 溶接ビード跡 にパテを盛って サフして 上塗りです。
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右サイドドア下前側は、縦・横・側面 が腐っていましたので、より立体的な補修が必要でした。
1枚貼った後に パッチ当て溶接 で もう1枚 内側から貼り付けておきました。この後は POR15 を念入りに流し込んで固めておきます。
ドアパネルは取付けた状態で塗装しますので、この段階で チリ合わせ を完了させておきます。
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前後左右・奥行き・開き具合 などを全体的に見ながら、ドアヒンジ と ドアストライカープレート の位置を微調整していきます。納得のいく状態になれば、本締めを行いますが、手締めでは トルクが足りずに徐々に緩んできてしまうので 必ず インパクト工具 を使って増し締めします。