ホワイトパール

1960年代の VolksWagen 純正色には「パールホワイト (真珠の白色) 」というボディ色がありますが、今回 塗装するのは「ホワイトパール」です。前者は 単色の ソリッドカラー であるのに対して、後者は パール顔料 を配合した塗料を使用するのが大きな違いです。一般的な パール顔料 には色が付いておらず半透明なため、まず ベースとなるソリッドカラーを塗装してから 専用クリヤーで希釈した パール顔料 を塗装して、仕上げにクリヤーを塗装するという3層の塗装を行うことから 3コートパール塗装 と呼ばれます。
 

 

3コートパール を初めて塗装したのは 前車歴の ’58 Type-1 でした。当時 パール系カラーは まだ珍しい時代で、国産車でも一部のグレードにしか採用されておらず、輸入車に至っては 純正色 としては存在していませんでした。この ’58 の時は ベースカラーを あまり吟味せずに 色見本で決めた ブルー系パール で全塗装しており、青く輝くパールは 確かにキレイではあったのですが、少し やり過ぎた感 があった事を記憶しています(笑)。どうしても 小さなカラーサンプルで見た時の想像と 実車に塗装した現実のギャップは大きかったです。その反省もあり ’55 には 自動車メーカーの純正色を塗装しました。
 

前回のレストアで参考にした純正色は TOYOTA カラーコード 051 です。たしか 20系のセルシオ が全盛期の頃で 高級感のある ホワイトパール だった印象があり 採用したのを覚えています。ほぼほぼイメージに近いボディ色に仕上がりましたので 満足していましたが、良くも悪くも 落ち着いた色 という雰囲気に。
原色名配合量(%)
ホワイト96.46
チンチングブラック1/102.81
オーカー0.51
Y.S.グリーン1/100.22
トヨタ 051 カラーレイヤー1 (C) ROCK PAINT
原色名配合量(%)
オートクリヤー89.4
U.パールベースW    10.6
トヨタ 051 カラーレイヤー2 (C) ROCK PAINT
 

今回も 同じく ホワイトパール で塗装するのですが、参考にしたのは FIAT カラーコード 270 – Bianco Gioioso です。街中で このボディ色の FIAT500 を見かけた際に「コレだ!!」と感じて 色番号を調べました。トヨタ 051 と比較すると オーカーの量が増え 赤味を加えた配合比になっています。わずかな違いですが、かなり見た目の雰囲気は変わるはずです。また カラーレイヤー2に フラットベース (ツヤ消し剤) が入る事で、パール顔料の きらめき具合がアップ する効果があります。

原色名配合量(%)
ホワイト94.51
チンチングブラック1/103.18
オーカー1.88
オキサイドレッド1/100.43
フィアット 270 カラーレイヤー1 (C) ROCK PAINT
原色名配合量(%)
オートクリヤー90.82
U.パールベースW    7.51
フラットベース1.67
フィアット 270 カラーレイヤー2 (C) ROCK PAINT
 
調色配合は全て 塗料専門店 ( 有限会社 征興塗料 ) に依頼しました。今回もまた ホワイトパール で塗装する理由は「3コートパールが一番似合う車は VW Type-1 」という マイブーム があるからです(笑)。
 
曲面で構成されたボディラインにベースカラーとパールの透過光が混ざり合った色調が見え 複雑で奥行き感のある塗装色です。ベースカラー4回 → バール4回 → クリヤー3回を それぞれ塗装しています。
 
こうするとさらによく比較できます。えっ「それほど変わらない」ですって? いやいや そんなはずはありません「牛乳と豆乳」くらいに全く別物です!(笑)
 
蛍光灯の下と 太陽光の下では 見え方の印象が違うのですが それも 3コートパール塗装の特徴です。朝昼夜の時刻や天候で 白色に見えたり アイボリーだったり パールが際立つ画角だと メタリック塗装に見える場合もあります。車体のほとんどが曲線で構成されている VW Type-1 の場合は それらが顕著にあらわれるのが気に入っています。
 

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