遮音 (Sound Deadening)

防音・遮音について調べていると様々な工法や素材選びがある事がわかりましたが、私なりの解釈としては「とにかく比重の高いモノで音源の周りを遮蔽しろ」だと理解しました。ぶっちゃけ どれだけ遮音したとて 空冷エンジンVW が現行車ほどに静かになるはずありませんが、出来うる限りの遮音対策を施した上で 心地よい音量のフラット4サウンドをBGMにドライブするのが目標です。
 
室内から見たファイアーウォールです。あちらこちらに後付けパーツのための穴があり、ここからエンジンルームの空気が浸入してきている痕跡が確認できます。ただこれは取付け方法に問題があると言っているわけではなく「あれも付けたい!これも付けたい!」という 今までの無計画なカスタム手法の結果、こうなっています。。
 
拡張した穴は、膜付きグロメットでフタをしてみました。音は空間があれば空気を振動させながら伝わっていきますので、穴があったら塞いでしまうのが効果的です。最終的にはクォーターパネル内に遮音材として 硬質ウレタンフォーム を詰め込みます。
 
FLAT4のカタログでは「エンジンサウンドボードSET」と名称されている防音材です。英語圏では「Fire Wall Tar Board Set (Sound deadening) 」という部品名で タールボード という名前から察するにコールタールを染み込ませて比重を高めた板のようです。VW純正で標準装備されているのでよく見るパーツですが、当然(?)のようにボロボロになっていることから、手直しされる際には真っ先に捨てられてしまう悲しい存在でもあります。かくいう私も 前回レストアの時は 遮音に無関心だったので 迷わず捨てていました(笑)。
 
一度取り付けると二度目は綺麗に取り付けができないような素材ですので、まずはダンボールを型紙として仮組みしています。配線の取り出し口だけでなく各種ホースの位置関係もここで確認しておきます。
 

充填中にあわてて撮影したのでブレブレですが、最初は奥の方から徐々に手前に充填していきます。この缶スプレーを使用した事がある方はご存知かと思いますが、一度で使い切りです。途中で一時的に止めることもできますが、後ろから押されるようにモリモリ出てきますし、先端の方で固まり出すと手に負えなくなってきますので、基本的には充填を開始したら最後まで出し切るしかありません。

 

あまり詰め込みすぎると今度はヘッドライナー取り付けが大変になるので、ほどほどの位置までにしておきます。この後もしばらくは膨らんできますのでギリギリまで充填するのはNGです。サイドモールディングのメンテナンスホールからもあふれ出してきていますが、硬質ウレタンが完全に硬化した後は簡単に削ることができます。また軟質ウレタンとは違って空気と水分を完全にシャットアウトできるため、エンジンルームからの音湿気から発生するサビも遮る効果が期待できます。
 
鉛シートの厚さは 1.0mm ですが 比重は 11.35 あるため かなり重いです。音 (=空気の振動) を 遮るためには 比重の高いモノ が有効ですので 効果を期待したいです。もちろん作ったばかりの フタ にも 鉛を貼り付けています。
 
これはサウンドボード右側ですが、これらにも 鉛シート(1mm厚) を使ってみました。一応 粘着タイプなのですが 縁を折り込んでおけば剥がれませんし 経年劣化で反ってしまうタールボードの補強にもなるかと思います。
 
重さ硬さがアップしたので 装着するのは一苦労しました。通常はオイルクーラーが邪魔になるのでエンジンを下ろさないとファイアーウォール面の装着ができませんが 横向きオイルクーラーなので ゴリ押しでいけました。中央下部をカットしているのは アクセルワイヤーリンケージの干渉を避けるための逃げ加工です。
 
元の状態に戻していくだけなのですが それが大変です。ホースや配線は まるで立体パズルです。部品を組み付ける順番をよく考えて それぞれがお互いに干渉してしまうことの無いように取り回しすることが重要です。
 
冒頭でも書きましたが「その音が良いんじゃないか!」の時期は3周くらい過ぎてしまったので、少しでも駆動音を遮るために 鉛シートを被せてみました。遮音効果は未知数ですが 無いよりは断然良いはずです。全ての年代の空冷VWのシャシーに貼られているアスファルトシートも 少しでも駆動音を遮ろうとする対策のひとつですので。
 

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