リアフード2

プレスラインが特徴的なリアフードに関しては大きく手を加える箇所もないのですが、左下部あたりにサビによる内部崩壊が発生しかけている部分があるのと、ヒンジ取り付け部とスプリングに少し手を加えたいと思います。
 
4本あるヒンジボルトのうち1本のネジ山が飛んでいる状態ですので修繕します。また シングル巻きスプリング は リアフード を脱着する際にとても厄介です。後の年式で採用された 分割タイプのスプリング であれば、片側のヒンジボルトを1本留めしてからスプリングをかける方式でいけるのですが、シングル巻きの場合はその方式は使えず、基本的には2人以上での作業が推奨されているくらいです。さらにスプリングのテンションが常時強烈に掛かる事から リアフード側が破損している個体もよく見かけます。この車も例外ではなかったので、前回レストアで強化した経緯がありました。
 
ヒンジと接合する面がほぼフラットのため エビナット では薄いタイプでも無理そうでしたので、ナットを溶接する方法にしました。このような作業の時には フランジナット がよく使用されますが、この場所はボルト穴が少し凸状になっており、より接合面を多く取るために 普通のナット を採用しました。事前にナットの 亜鉛メッキ は削っておかないとうまく溶接できません。
 
ハイテンション (!?) スプリング の リアフード取り付け部分です。金属同士がこすれ続けると必然的にこのような状態になっていきます。まだ致命的な状況では無さそうですが、折れると厄介なので修繕しておきます。
 
リアフードには1箇所だけ 蜂に刺されたようなふくらみ があったので削ってみると、予想通りのサビ穴でした。どうやら内側から腐食している状態のようです。
 
内側から見ると、ちょうど前回パネルを切り継いだ箇所が患部でした。もちろん前回レストア時に溶接跡周辺の 遮錆処理 は施していましたが、興味深いことに オリジナルのパネルはサビておらず、社外品のパネル だけがサビています。つまり サビにくい鉄鋼板 と サビやすい鉄鋼板 が存在する証左です。ただし 社外品パネルでも 遮錆処理が施されている他の箇所に問題はありませんので、この箇所は局所的に遮錆処理が薄かったところにサビが発生して患部が拡大したモノだと診断します。
 
溶接をしたナット周辺や、肉盛りしたスプリング、そしてサビてしまった箇所にも、しっかりと お薬 (POR15) を処方しておきます。
 
スプリングのテンションが加わる事で 開き具合や隙間も変わります。ボルトを 締めたり 緩めたり ズラしたり を何度も繰り返して納得のいくまで チリ合わせ します。とりわけ Type1 のリヤフードは 絶妙のバランスで調整しないと、パネル同士のこすれで塗装が剥げてしまいます。
 

レストア Part2 – 目次に戻る