通称 バットウィング のデザインが特徴的ですが、前回レストアの際に修復をしていました。しかし 23年経過した現在は 亀裂 と 色褪せ が 目立ってきていますので 今回あらためて 修復します。1999年頃の画像は無いのですが、引き揚げた当時の ステアリング は 干からびたミイラ のような恐ろしい状態でした。。
前回のレストアでは、あまり深く考えずに 鈑金用ポリパテ を補修に使用していたのですが、結構早い段階で 細かい亀裂 が入ってしまいました。今回 調べたところ ステアリングの場合は エポキシ系樹脂 を使用するのが良いことがわかりましたので 樹脂を充填させるために 傷口を広げて います。
市販されている エポキシ系 といえば 粘土タイプのパテがあり、私も昔 プラモデルを作る時に使った事はありますが、細かい隙間まで充填させるのは難しそうなイメージがありましたので、FRP補修用 のチューブを流用してみました。こちらはパテというより接着剤 のような使い勝手なので、無理に充填しようとしなくても とろ〜り と隙間に浸透していき 思いのほか良さげな感じで接着できました。
砥石やペーパー(#80〜#120)を駆使して研磨していきます。右の画像は 前回レストアで修正した跡を撮影、毛細血管のように見えるのは全てパテです。元々はこのような 干からびた状態 からのスタートでした。小さなひび割れは 鈑金用パテ でも問題なかったようですが、大きなひび割れは エポキシ系樹脂 で固める必要があったようです。
ひたすら研磨すること 3時間、、通常のパテ研ぎよりも立体的で かなり大変です(汗)。研磨しすぎると ステアリング自体が削れてしまいます。ある意味 美術工芸品 の修復作業に近い気がします。ステアリングにパテ修正を施すのは 旧車 ならではの作業ですが レストアして再利用するのは とてもエコ (エゴ?) だと思います!
エポキシ樹脂 で大きな亀裂を接着した後工程に ロックバンパーパテ を採用してみました。その名の通り 自動車のバンパー に使用するためのパテで、素材の変形に追従できる柔軟性を持った 樹脂成型品向け の製品です。ヘラ定盤に残った硬化後の状態を 通常のポリパテと比較しましたが、こちらの方が断然 可とう性 に優れていました。
ツールとペーパー(#180〜#240)で研ぎ続けること さらに3時間、、バンパーパテ は エポキシ樹脂 にできた巣穴や 粗いペーパー目を消すことが目的です。レストア文化が盛んなアメリカでは ステアリング復元専門 の業社が存在するらしいのですが、大いに納得できる作業ボリュームです(汗)。。
プライマーサフェイサーを塗布して少し研磨した状態です。塗装している様子は 塗装 (下地処理) のページに投稿しています。#400 あたりから から研ぎ だと目詰まりが気になってきます。耐水ペーパー に切り替えても良いのですが、 ここでも活躍するのが コバックス社の 特殊ペーパー です。
プラサフの研ぎには K-360 を、上塗り前の足付けには K-800 を使用します。特殊ペーパーといえど 目詰まりは起きますが、エアーブローする事で 2〜3回程度なら 研磨力が復活 して再利用できます。通常ペーパーだと そういうわけにはいきません。ただ 裏面が すべりやすい素材のため 専用パッド か ゴム手袋 での研磨を推奨します。
エポキシ樹脂 → #80 → #120 → バンパーパテ → #180 → #240 → プラサフ → K-360 or #400 → K-800
ここまで磨き続けると プラサフに ツヤ が出るくらいまで 表面が整ってきます。上塗りする直前に シリコンオフ で全体を拭き上げれば いよいよ 本塗り です!
ステアリングのオリジナル色に関しては L567 ivory や L472 Beige Grey など 諸説あるようですが、ホーンボタンの内側に残っている「元の色」をたよりに 日本塗料工業会の「塗料用標準色見本帳」から 22-75C に決めました。
扇風機のように見えるのは ホーンボタングリル です。縦に固定することで 上から落ちてくる ホコリ(ブツ) を少しでも回避しようとしています(涙)。横向きでも ブツ は付着しますが 比較的に除去しやすいです。上から落ちてくる ブツ は塗膜に 沈着 して取れなくなってしまう事が多いためです。
ステアリングホイールのレストア 完成 しました!ポリッシュしたホーンボタンを仮付けして記念撮影。
今回のレストアで ABCペダル を分解する予定は無かったのですが、運転席側の足元あたりに 腐食が進行している箇所がありましたので外しました。単に暖かい風が漏れるだけなら 結果オーライ(笑) なのですが、サビが拡大してしまうのは 問題がありますので 遮錆処理 と 外した ペダル には補強 を加えます。
古いVWの アキレス腱 といえば クラッチワイヤー ですが、ペダルの根元が折れてしまうトラブルも 珍しいことではありません。前回レストアでは 気になりませんでしたが、今回は 明らかに削れているのがわかります。一般的に 溶接した周囲の熱影響部は 硬度が高くなり 粘りが無くなる と言われますが「粘りはあったが 削れて折れた」という事にならないよう肉盛りしておきます。この箇所は 定期メンテナンスで グリスアップ が必須です。
Type-1 の クラッチワイヤー は 狭い場所で接続する必要があるので地味に大変です。ペダルを付けたままでも 上のメンテナンスホールから繋げられそうに見えますが、実際は シフトロッドチューブが邪魔 をして うまくフックに引っ掛けることができません(泣)。ただトンネル内部が視認できるのは便利ですし、いつでも グリスアップ ができることが 最大のメリットです。
右サイドメンバー下のサビて隙間ができていた箇所は、遮錆処理 をした後に アルミテープ を貼っておきました。パネルを貼り替えるほどの需要な箇所ではないですし この上から カーペットも貼りますので これで 必要十分 です。また 分解した ABCペダル を組み付ける際は 金属同士が触れる箇所全て にグリスアップ をしています。
まだ仮組みの段階ですが なるべくストックの見た目を維持しつつ、とはいえ 後付けした補器類は無いと不便なので エアコンや各種メーターの位置を このような配置に変更しました。全体的に奥側へ移動させましたが、運転席に座った状態で しっかり視認できる状態になっています。指示器を右側にした事で操作もしやすくなりました。