ファンシュラウド 真上から見たエンジンです。中央のファンシュラウドが重要なのは言うまでもないですが、前後に装着されるエンジンチンも、上下の空間を遮るための大切なパーツです。こうやって俯瞰で見ると結構隙間がありますので、これをできる限り埋めていこうと思います。 エンジン側から見ると後ろにありますが、車の進行方向に位置するパーツなので フロントチン です。加工を始める前に、部品の中央付近があまりにも細くて折れそうなので針金で骨を入れておこうと思います。 エンジンチンと針金の隙間にはロウ付け溶接が良さそうなので採用してみました。フラックス内蔵タイプのロウ材を使ったのでハンダ感覚でお手軽でしたが、やはり半自動溶接と比べると少し手間がかかります。 アクセルワイヤーケーブルが通る位置をツインキャブのリンケージに合わせて内側にオフセットさせました。オイルブリーザーホースが通っていた穴も少しズラしたいので、一旦、埋めておきます。高年式の純正フロントチンを流用しているために穴の直径が大き過ぎるのです。当時はオイルブリーザーホース用の穴では無いはずです。 進行方向側から見るとこんな感じです。穴ひとつ分ではありますが、これによりアクセルワイヤーとツインキャブのリンケージが、ほぼストレートに接続できます。元の位置でも大きな問題はなかったのですが、わずかばかりアクセルワイヤーが斜めに引っ張られているのが気になっていました。エンジンチンの補強にもなると思います。 純正ファンシュラウドでもフロントチンは左右それぞれ1本ずつでボルト留めされているのですが、エビナットを追加して2本留めに変更しました。1本留めのフワフワ感が無くなり、ガッチリ固定されるようになりました。横の四角い穴は何かを通すために開けられていたようですが、今は何も通っていないのでFRP補修材で埋めます。 作業前には 脱脂洗浄 が必須です。どんなに良い塗料やパテを使用しても脱脂が不完全だと失敗します。 塗料やパテのノリを良くするための 足付け も重要です。今回は 2液性エポキシ樹脂 と 耐熱アルミテープ を使用して穴埋めしていきます。 2液性エポキシ樹脂のメリットは硬化が早い点ですが、デメリットも硬化が早い点です。特に夏場は素早く作業しないと5分程度で硬化が始まります。「後で削ればいいや」と思いマスキングしてませんでしたが、わざわざ削る必要も無い箇所なので「マスキングテープを剥がして終わり」にしたほうが良かったですね(反省)。 リアエンジンチンの作業に移ります。ポルシェスタイルのファンシュラウドに交換した当初はヒートエクスチェンジャーを付けていませんでしたが「やっぱ冬は寒いなぁ」ということでヒートパイプが後付けされました。その後「とにかく夏は暑いなぁ」となってエアコンが追加された事で、さらに加工が施された経緯があります。最初からカスタムのコンセプトをしっかり設定しておけばよかったのですが、オーナーの堪え性のなさで手間が掛かってしまった典型的なパターンです(汗)。 山折り の部分がヒートパイプと干渉するので、切断用砥石を付けた電動グラインダーと金切りバサミを併用して切り込みを入れて 谷折り にしました。 谷折りでできた空間を埋めるため、厚紙で採寸してボンデ板から切り出します。金切りバサミ は直線切用の 直刃 と 緩い曲線用の 柳刃 がそれぞれあると便利ですが、どちらか1本を選べと言われれば迷わず 柳刃 です。むしろ直線は 柳刃 のほうが切りやすいかもしれません。 自動車用の薄い鋼板に対して半自動溶接機を使用しているので、基本的には点付け溶接を連続することで線の溶接にしていきます。連続で溶接し過ぎるとあっという間に鋼板が溶けて穴が空いてしまいます。 エキマニやコンプレッサーのステーを仮組みして、リアエンジンチンがスムースに脱着できるか確認しながら作業を続行していきます。 ヒートエクスチェンジャーにつながるパイプとエアコンステーを仮組みして確認しています。ヒーターダクトを通した時に、エキパイとコンプレッサーベルトの両方を回避できる位置を探っています。 撮影した角度の関係でお互いに干渉しているように見えますが、この位置がベストポジションでした。コンプレッサーベルトの逃げで切り欠いた部分の谷折りを加工して 徹底的に下からの熱い空気は封じておきます。 メインファンシュラウドの左右には大きめの開口部があるため、オイルクーラーを通った熱い空気がインテークマニフォールドの隙間から 逆流 してきていました。とはいえ20年間ノントラブルですので致命的な欠陥ではないのですが、せっかくの機会なのでココも徹底的に遮熱してエンジンへの負担を減らしておきます。 無いものは作るしかありませんので、型紙で寸法を測って開口部を最小限に抑える ワンオフチン を鈑金しました。曲げ加工をしておくと鉄板がペラペラしにくくなりますし、切りっぱなしのフチでプラグコードを傷つけてしまうことも防げます。 オイルクーラー側から見るとこのような感じです。型紙が白いのでわかりにくいですが右側が チン を装着した状態です。上の方に見えている光は エンジンシールラバー下側 へ抜けているので問題ありません。 加工から3ヶ月経過して 塗装の段階まで到達しました。ツヤあり に見えますが 半ツヤ消しブラックです。 レストア Part2 – 目次に戻る