フロントまわり2 正面からのアングルショットですが こすり傷 がたくさんあります。。ちょうど車止めのブロックくらいの地上高なので、距離感をミスると ゴリッ といきます(笑)。画像では エアコンのコンデンサー が 飛び出しているように見えますが、実際は フロントエプロン最下部より少しだけ上に設置されています。 コンデンサーの冷却効率と地上高を両立させるため ひな壇 のように加工されています。前回のレストア記事を見て頂くと分かるのですが、元々この箇所には大穴が空いていたので 底板は作り直しています。あと IDプレート を 倉庫整理していて見つけたので「完成したら取付けよう」と思います。そういえば 前回レストアの時も「完成したら取付けよう」と言っていた気がしますが (汗)。 今回のレストアでは 何も変更を加える予定はありませんが、燃料タンクの下を見る機会もあまりないので撮影しました。本来この年式にはない ステアリングダンパー を後付けしています。また 燃料コックからキャブレターまでを全て 内径 8mm パイプで配管していますので、旧車界隈では有名な ミツバの電磁ポンプ (Φ6mm) は選択せずに NISMOフューエルポンプ (Φ8mm) が取付けてあります。 左フロントには 目立ったダメージがあります。1人で乗っている時には何も問題がないのですが、2人以上乗車した時に 大きくハンドルを切ると ゴリゴリッ といきます(泣)。ちなみに 右フロントは 何ともありません。右と左で違うのは Type-1 あるある だという説もありますが、ここは フェンダー叩き出しで対処しようと思います。 鈑金を開始するにあたり下地まで削りました。タイヤとの接触を回避するために 折り返しのリブは 叩いて潰していましたが、リブがあると思うように鈑金できないので、できるだけ外側にめくっておきます。パネルの強度は リブのおかげで保たれているのですが、叩き出しをする時は それが邪魔になってしまいます。 リブをめくったら 早速 叩き出します。手に持っているのは 当て盤 です。鋭角な部分を当てる事がないように気をつけながら 内側から叩きつけます!このとき いきなり ハンマー で叩いてしまうと 鉄板が伸びて薄くなり パネルがボコボコになりがちです。このような鈑金をする場合 主役は 当て金 (あてがね) です。 曲面で構成されているので リブをめくっても 割と頑丈なのが Type-1 のフェンダーですが、かなり限定された条件でのみタイヤと接触していたクリアランスでしたので、そこそこ叩き出せたかな? と思うところで 次の工程に進みます。亀裂を溶接する前に 外側と内側には サビキラー を塗布しました。 左フェンダーはリブの一部が欠損している事もあり 補修と強化をする目的で 丸針金 を使います。太すぎると加工しにくいですし 細過ぎると補強になりません。直径 3.2mm に特に意味はなく 近所のホームセンターで売っていた 一番太い針金がコレでした。ほどよい太さと硬さがあります。 リブが折り返す部分に 表からドリルで穴を空けて 裏から 丸針金 を合わせています。バイスで針金を固定したら 少しだけ 針金にもドリル をあてておきます。そうすることで 針金の亜鉛メッキが削られて 溶接しやすいです。 リブが 欠損した 箇所 だけでなく サビて 薄くなった 箇所 や 亀裂がある 箇所 にも 全部まとめて 1本の丸針金 を通しておきました。そもそもリブが正常であれば こんなことをする必要はありません。アフターパーツメーカー製の新品フェンダーに交換する方法もありますが、純正品は貴重なので補修をして利用したい思いもあります。 丸針金 を表側から溶接した理由は、画像のように叩いて リブに沿わせるためです。もし裏側から溶接していると 溶接跡が邪魔 になってリブを巻き込めないだけでなく 最悪タイヤと接触してパンクする恐れもあります。さらには サビてペラペラになったリブですが 針金に巻きつける ことによって 強度UP が期待できます。 長い亀裂の補修には 当て板パッチ溶接を行います。通電しやすいように亜鉛メッキは削っておきます。 裏パッチをしないと サビてペラペラになったパネルは 溶接のアークで いとも簡単に 穴が空きます。今回のような補修は、亀裂を「繋げよう」として溶接するのではなく 裏パッチ目掛けて「肉盛り」をする感じで溶接すると うまくいきます。また 溶接跡はサビやすい ので、溶接後は入念に 遮錆処理 をしておきます。 車庫入れだとしても ハンドルを目一杯に切るなんてのは そんなにある事ではないので あまり心配はしていませんが、叩き出しの効果を知るためにも 動画に撮って確認してみました。 この場所に亀裂 が入る理由をご存知の方はおられると思います。フロントフードがスプリング保持ではない年式の Type-1 は、折り畳み式のつっかえ棒 で支えられています。もう十年以上前ですが セルフ式GS で 私が給油終わりにノズルを戻そうとした時、同乗していた会社の後輩が フードを閉めようとしてくれて グニッ といきました(泣)。良かれと思っての行動でしたので怒るわけにもいかず、今では 良い話のネタになっています。 フロントフードを取り外して 患部にサビキラーを塗布した状態です。’55年当時のモノではありませんが VW純正品から流用しており リブが2重になっているので、別途 補強を入れる必要はなさそうです。そもそも 人的ミス さえなければ負荷が掛かる場所ではないため、今後は フロントフードの開け閉めに注意を払えば問題ないかと(笑)。 補強は必要ないと書きましたが、この箇所にフロントフードの重さが集中する事が、亀裂のおかげで明らかになったので、患部の周辺を 溶接増し だけはしておきます。スポット溶接カッター は 本来スポット溶接部を削り取るドリルですが、これを応用して パネルの上側だけを貫通させて 下側は地金を出すところまで削り、半自動溶接機で 下側のパネル目掛けて「肉盛り」すれば、擬似スポット溶接 ができます。 ボディに組み付けた後だと作業しづらいので フロントフード裏面の 汚れ除去 兼 足付け処理 を先にしておきます。広い面積は #400 程度でツール磨き 入り組んだ箇所は #240 程度で手磨きしています。旧塗膜の足付けとしては番手が荒いのですが フードの裏面なので 作業効率を優先しています。この時 地金が出るまで削ってしまうと すぐにサビる ので注意します。汚れと一緒に旧塗膜を薄く削るのが理想的です。 フロントフードを開閉する度に わずかにボディに干渉していた箇所があり、一部 塗装が剥げていました。ただ この年代のヒンジは 位置決めの遊びが前後くらいしかなく 調整のための 当たりゴム があるわけでも無いので 何度調整しても しっくりこないため 後方の穴だけ ボルト半分くらい えぐりました。 Before は ギリギリのように見えて かすかに当たっているために、スティールチャネルの塗装が剥げ、サビが拡大していました。After では 1mm 程度の隙間ができました。これ以上 隙間を開けると ボディとの段差が大きくなってしまいます。たかが 1mm されど 1mm が チリ合わせ です。 車止めにぶつけてサビた 箇所には サビキラー を塗布しました。この後 POR15 > プラサフ > 上塗り します。本格的に面出しをするなら エアコンのコンデンサーを外さないと やりづらい感じでしたので、凹みは それなりに叩き出した状態のままで お茶を濁しています。。どうせ すぐにまたぶつけ・・・ないように気をつけます(笑)。 パネルを 切ったり 貼ったり サビ止め したりの 鈑金フェーズ はこれで完了です。また 前後フェンダーの裏側の チッピングコートが一部剥がれていたので あらためて塗布しました。このあとは、鈑金跡のパテ処理 や 面出し 歪み抜き 足付けなどの 塗装フェーズ に取り掛かります。 レストア Part2 – 目次に戻る