自動車のサスペンションには、様々な方式が採用されていますが、VW Type-1
の場合は、前輪がダブルトレーリングアーム方式、後輪がスプリングプレート
と組み合わせたスイングアクスル方式です。前後ともにトーションバーと呼ば
れる棒状のバネが採用されており、サスペンションの役割を果たしています。
フロントのアクスルビームです。この上下2本のビーム内にトーションバーが
差し込まれています。中央のパーツは、それらトーションバーをねじるための
ものです。任意に角度を変えることで前輪の高さが調節できるようになります。
上下それぞれに車高調整用パーツを取り付けますので、片方づつ作業します。
ビームの両端についている、キノコのような当たりゴムの部分は不要です。
それほど重要な部分ではなく、これ以降の年式だと最初から付いていません。
上下ともにしっかりと溶接をして、車高調整キットの取り付けが完了です。
この年式には付いていなくて、これ以降の年式で追加されるパーツもあります。
ここにステアリングダンパーというパーツを付けることにより、ハンドルの
ぶれが抑えられることで、主に、高速走行時における直進安定性が増します。
これは、左後輪のスプリングプレートとトーションバーです。
一見すると簡素で、いかにも昔の車ならではといった構造ですが..
そのシンプルさと軽量さゆえに、トーションバー自体は、現在でも
F1カーに採用されるほどの優秀なサスペンション装置のようです。
実は、後輪のトーションバーは、外側と内側の溝の数が異なります。この
違いをうまく利用することで、スプリングプレートの角度が微調節でき、
車台と後輪の位置関係により車体の地上高が決まる仕組みになっています。