フェンダーとは、タイヤ周辺をカバーする外装パネルの事を指します。
VW Type-1のフェンダーは、1950年代以前の車ではよく採用されていた
形状ではあるのですが、現代の車においてはこのような形のフェンダー
を、あまり見ることがないため、VW Type-1の特徴的なフォルムとして
捉えられることが多いようです。
左後ろのフェンダーです。メタルレディとワイヤーブラシで表面のサビ除去
と防錆処理は済んでいますが、切り取った箇所は腐食が激しく、移植作業が
必要と判断したので復元作業をすすめていきます。
左リヤフェンダーの復元
年代は異なりますが、中古のフェンダーから必要な箇所を切り出します。
エアーニブラーや電動工具を駆使して、何度も微調整をして形状を合わせます。
位置が決まれば、点付け溶接で固定。
全体を歪みが出ないように溶接し、仕上げに溶接跡を削れば移植完了です。
鉄鋼板の折り返し部(リブ)が復元された事により、フェンダーの強度が復活しました。
右リヤフェンダーの復元
こちらは下部の腐食がひどい状態です。
こちらも中古のフェンダーから必要な箇所を切り出して移植します。
続いて、後から空けられたであろうバンパステー用の穴を埋めるための作業です。
黄色い工具がエアーニブラーです。電動タイプや手動タイプもあります。
鉄鋼板の切り出しには欠かせないツールのひとつです。
細かな修正には、ハンドグラインダーなどを使っていきます。
実際に合わせてみて位置を決めます。
ぐるりを溶接して完了です。
ちなみにこの穴は、1956年以降の北米向けモデルに装着されていた通称ダブルバンパーを取り付けるための穴で、日本向けモデルの1955年式には存在せず、工場出荷後に空けられた穴であることが明らかなので埋め戻しました。